2015年2月開催の新春セミナーズフェスタを記念して、
『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ著)を用いた
実践心理学の事例をご紹介していきます。
「都市が発展すればするほど
人は忙しさのあまり他人にかまっていられなくなるから
人間関係が希薄になり、冷たい世の中になっていく…」
このようなテレビ報道などを見たことがありませんか?
そして、
「みんなの目の前で事件が起きているのに誰も助けようとしなかった」
という実例をあげて、
「都会の人間は冷たい」
という結論になりがちですが、実この原因と結論は間違いかもしれません。
都会に住む人達は決して他人にかまっていられないのではなく、
都会のもつ特徴によって「影響力の武器」が働いてしまうため行動できなくなっている、
かもしれないのですね。
たとえば、このような実験があります。
ある緊急事態に遭遇した時、
周りの状況によって人の反応がどう変わるかを調べました。
1人の時は90%もの人がその状況を解決しようとしたのに対し、
状況に反応を示さない仕掛け人を二人用意させると
わずか16%の人しか援助をしようとしませんでした。
こういった一連の実験結果によって、
「私たちは問題に正しく対応できる自信がなく、
かつ周りに人がいる時は状況判断を他人に委ねる傾向があること」
そして、
「周りの人たちが知らない人の場合、
普段よりも消極的に振る舞いがちになること」
が分かっています。
この結果を踏まえると、先ほどの「都会の冷たさ」はこのように理解できます。
都会は変化が早く、注意力も散漫になりがちで
状況を正しく判断するのは難しい状態にあります。
また、周りは知らない人たちばかりです。
だから、人に心理的な影響力が働いてしまい、
緊急事態に対して自ら解決する行動ができなくなってしまうのです。
決して都会の人が悪いのではなく、状況が人をそうさせているんですね。
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