2015年2月開催の新春セミナーズフェスタを記念して、
『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ著)を用いた
実践心理学の事例をご紹介していきます。
「スタンプをためると、コーヒーが無料」など、
いわゆる報奨制度を導入してお客さんのロイヤリティを高めている
企業は多いですよね。
もしかしたら、あなたの会社もやっているかもしれません。
この報奨制度でこんな面白い実験がありました。
洗車1回につきスタンプが押される洗車場にて、
・スタンプが8個で洗車が1回無料になるカード
・スタンプが10個で洗車が1回無料になるカード、ただし最初からスタンプが2個押されている
この2パターンで、どちらがロイヤリティが高まるかを実験したのです。
「8個押せば洗車1回無料」という条件は全く同じです。
しかし、結果には大きな差が生まれました。
スタンプ8個カードの場合は、カードを受け取った顧客の19%が最後まで到達しました。
一方スタンプ10個カードの場合は、なんと34%の方が最後まで到達したのです。
実に2倍弱の差がついたのです。
しかも、一方スタンプ10個カードの場合は洗車の間隔も平均2.9日も短かく、
到達の時期も短かったのです。
これだけの差を生んだ違いはどこにあったのでしょうか?
そうです、「最初から2個スタンプがついていた」という点が、
顧客のロイヤリティを高めたのです。
ここには一貫性の法則が作用しています。
「スタンプカード集めのプログラム」をまだはじめていない状態よりも、
もう始めている状態(すでに2個ついている)の方が、
それを完了させようとする気持ちが強くなります。
さらに、目標達成が近づくほど、
一層努力して成し遂げようとすることも実験結果が示しています。
顧客が洗車に訪れる時期は、半日ずつどんどん狭まっていたのです。
つまりスタンプが集まってくれば来るほど、
洗車のペースが上がったのです。
(この気持ち、よ?く分かりますよね…。)
もしこういった報奨プログラムをマーケティングに活用するなら、
「既に始まっている状態」を演出することをおすすめします。